国際都市東京の役割と課題

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1.東京都を取り巻く変化

今後の日本ならびに世界の変化を思い描いた上で、東京都としての位置付けやその役割を考えていくことが重要と考える。例えば、次に示すようなすぐ目の前に迫る変化から遠い先の変化などが想定される。(参考文献:「21世紀ビジネスはこうなる-世界の叡知を結集-」1997年12月18日発行ロワン・ギブソン 編、島田晴雄 監訳、シュプリンガー・フェアラ-ク 東京㈱発行、他)

 

【今後の変化】

①これまでの社会や人々を支えてきた基本的な前提やしくみの崩壊(年功序列の崩壊、家族の求心力の低下や核家族化、終身雇用の崩壊、男女の役割分担の変化と女性の社会進出、人口構成の変化等)

②安くない自然資源コストや自然環境に対する責任の増大

③労働者の質や価値観の変化(非常に動機付けされ、問題なく資格を与えやすい労働者を活用する可能性の減少、個人の自由の増大)

④世界各国の間で湧きあがる大競争(国際関係の多分化、流動化)

以上の変化には短期的あるいは長期的なものまで様々あるが、国際都市東京の今後を考える上で十分考慮したい基本的事項と考える。

 

2.日本および世界における東京都の役割

国際都市東京としては、上記の様々な変化に的確に対応し持続的な発展を図るとともに、我が国が有する高い科学技術力並びに日本人の無宗教性や寛容精神などを背景とした世界秩序の平和的維持、世界経済の安定化及び真の公平性確保に対し、日本全国ならびに世界に対して貢献していく必要がある。また2020年に東京オリンピックが開催されることを踏まえ、東京都としての役割について次の3点をあげたい。

(1)東京一極集中の緩和を図っていく役割【役割1】

我が国の高度成長を支えてきた要因として、確かに東京一極集中は効率的な我が国の発展に寄与してきたことは疑いの余地はないと考える。しかしながら一方で、土地価格の異常な高騰、都市交通への多大な国費投入、高額な住宅取得、自然環境の悪化、直下型地震や異常気象に伴う水害や土砂災害等による被害の拡大懸念などの負の効果も否定できないと考える。また、東京一極集中が地方の疲弊につながっていることから、最近では地方再生の様々な取り組みが進行しつつある状況もある。このような負の効果の解消には東京都自らが東京一極集中を回避していく施策を講じていく必要がある。東京一極集中はこれからの我が国全体にとって効率化を妨げる要因と考えるものであり、まずは各地方から集まってきている勤労者が地元の地域で働いていけるようにするために、各企業が積極的に勤労者の地方移転に取り組める環境整備が必要と考える。

本社が東京にある会社を一例に考えた場合、登記上、本社を東京に置くことはあっても、実質的な生産現場(モノ、知的生産、サービス等)を地価の高い東京に置く必要はなく、地方ごとに人員を配置すれば良いこととなる。ただし、経営に必要な情報や社員同士のコミュニケーション等はどこに居ようと必要であり、そのためには高度に発達した情報通信システムを全国に張り巡らせる必要がある。まさにこの情報基盤を全国に整備、普及させることにもっと国レベルで力を注ぐべきであり、やっと始動し始めたテレワーク導入の動きをさらに進展させるためにも、情報通信事業者の設定する高い通信料の大幅な低減化を実現し、高速・大容量の基幹ネットワークを本社と全国の支店でつなげることにより、あらゆる場面でいつでもつながり、映像を介したコミュニケーションを行うことが可能となる状況が実現することを予想する。現在、多くの企業が集中しているこの東京都から、地方間の情報ネットワークの構築に向けた取組みを率先して進めていくことが重要と考える。また、離島との通信ネットワークを確保するために、低コストの海底ケーブルの敷設を推進する必要がある。

 

(2)真の国際都市東京を構築していく役割【役割2】

一極集中を回避した東京が目指すべき目標は「真の国際都市」であると考える。世界における東京を考えた場合、諸外国人を受け入れることができる施設等をこれまで以上に整備する必要がある。これは中華街、コリアンタウン、シャンゼリゼ通りといった場所をつくるのではなく、日本および日本人を外国の人により理解してもらうために、日本の文化に触れながらビジネスや観光をより行いやすくするための環境を整えることを目標とすることを指している。具体的には、一極集中を回避したことにより、古いビル群の跡地は緑地化し昔の武蔵野を彷彿させる環境を徐々に取り戻す必要がある。

一方、残されたビルの空きフロアーは、多くの海外企業や地方企業等の拠点として提供できるように支援することがまず考えられる。また都内のいたるところには全国の名だたる企業や諸団体の窓口、東京を含む全国の旅館等の宿泊施設や観光施設の窓口などがあり、様々な国の言葉が飛び交う風景を思い浮かべることができる。国際空港羽田を降り立った外国人がまず都内で安心して滞在でき、日本の施設や文化に触れ、あたらしいビジネスの発掘や日本観光の開始地点として、東京が大きな役割を果たす時代が来ると予想している。また、様々な国際会議の開催場所を整備し、世界における諸問題に関する議論の内容を世界に発信していく基地として、その存在感を世界に示していくことも重要と考える。

 

(3)東京およびその周辺地域における歴史的な文化や人々の営みを守り育てる役割【役割3】

東京およびその周辺地域には価値のある自然、建造物およびそこに住む人々の営みがある。東京が有する自然としては江戸前である東京湾、霊験あらたかな高尾の山並み、太平洋に浮かぶ島しょ群などがあり、これらの世界に誇るべき自然を守りぬく強い決意が必要と考える。また、東京のいたる所に残る歴史ある街並みやそこに集う人々とのふれあいこそが東京都の強みであり、都民のみならず日本国民が大事にしていくべきものである。

 

3.首都東京が果たすべき対策

首都東京を取り巻く変化や首都としての役割を踏まえ、まずは東京が抱える今日的な課題を認識し、必要となる公共施設の新設、更新ならびに維持管理を中心としたさまざまな対策の実行が求められる。上記に示した3つの役割に沿って、東京として実施すべき対策の一例を次表に示す。

 

 

首都東京が行うべき対策 関連する役割
①情報通信ネットワークの整備

情報通信事業者ならびに国および他の地方自治体とともに、東京都内を含む我が国の情報通信網に対する将来のあるべき姿を描き、アクションプランを構築。

役割1
②都施設等の機器や電気設備の省エネ推進

道路照明等のLED化推進や情報センター機器における直流給電方式採用等による省エネ化を推進。

役割1
③離島と本土をつなぐ海底ケーブルの敷設

離島の住民に対する情報格差の解消と、遠隔授業、遠隔医療等の推進による住民サービスの向上。

役割1
④CCTVカメラを活用した犯罪抑止・防犯システム

国際都市東京の安心、安全を守るための支援システムの整備。

役割2、役割3
⑤都施設のさらなる耐震化(長周期変動)や洪水対策の充実化

都民、とりわけ子供や老人などの弱者を守るためのハードおよびソフト対策。

役割2、役割3
⑥東京直下型地震直後の電力及び情報通信を確保するための大深度地下空間活用

首都東京の機能を守るため、都内の重要施設を対象とした電力供給および情報通信の信頼性向上。

役割2、役割3
⑦江戸前の海「東京湾」の水質浄化を図り、漁業、観光資源等としての価値を向上。 役割2、役割3

 

 

4.対策実施よる波及効果

経済学で主に用いられるところの「パレートの法則」によれば、主要な上位3つ程度の対策を実施することによってそれ以外の課題も自然に解決されていくという考えに基づき、前節の対策を実施することにより期待される波及効果について抽出した結果は以下に示すとおりである。

対策 波及効果等
東京一極集中の緩和 ①通勤ラッシュの解消

②災害時等における帰宅困難者問題の解消

③均衡ある地域の発展(過疎化問題の解消)

④交通渋滞の緩和(自転車道の充実)

⑤住宅問題の解消(居住費の負担軽減)

⑥住みやすい住宅環境の実現

真の国際都市東京を構築
  • 国際問題に関する議論の中心の場としての世界における存在感の獲得
  • 我が国の優れた科学技術の活用をベースとした国際貢献策の推進及び世界の安定化実現
  • 世界規模の人権擁護推進(独裁主義者からの人民救済)
歴史的な文化や人々の営みを守り育てること ①海外からの観光客増大と観光を中心とした産業発展

②国際社会における我が国のイメージアップ化

 

以上

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